公開:2026-06-18   更新:2026-06-30

AI システム開発の手段 ~ Python は不要 ~ ノーコード・ローコードツールの薦め

日本のシステム開発がほぼ失敗している背景

東郷平八郎がイギリスで食べたビーフシチューが恋しくて、日本で海軍料理人に「ビーフシチューを作れ」と命じたら料理人は「肉ジャガ」を出してきた。

日本では、自社独自システムを外部のシステム会社に委託して作ってもらうことが主流になっています。
システム開発が失敗するのは当然です。独自の業務内容を全くの他人に任せて、そもそもできるわけがないのです。

まさに「ビーフシチュー頼んだのに肉ジャガ出てきた」と同じことなのです。
システム開発を成功に近づけるために、発注企業側は提案依頼書を外部のシステム会社に出すわけですが、それでもやはりシステム開発は失敗に終わることが多いです。


失敗の原因は複数あります。

  • 発注企業側は、システムを理解していないため提案依頼書の内容が不足してしまう。
  • 受注したシステム会社側は、業務内容を理解していないため提案依頼書の内容を解読できない。
  • 受注した SIer 自体が実はプログラムを作れない。そして多重下請けが発生する。
  • 発注企業側はシステムを理解できないため、システム完成後もシステム会社に依存し続ける、所謂ベンダーロックインが発生する。
  • 作ってもらったシステムが粗悪であってもその比較を発注企業側で判断できる能力が無いため、発注企業側は運用でカバーし続ける。
  • システム運用に心根の良くない社員が担当してしまった場合にその後、属人化が発生する。

システム開発を成功させる解決方法はとても簡単で、業務内容を理解している人間がシステムを作るか、市場に既に販売されている SaaS / PaaS 製品 (ノーコード / ローコードツール)を使うか、のどちらかです。

外注と内製の実際の製品比較

業務内容を理解している人間がシステムを作るネックポイントと、時代・環境の変化

業務内容を理解している人間がシステムを作ることには、大きなネックポイントがあります。
とても単純ですが、基本的に業務とシステム開発の両方を理解できる複数スキル人材が極めて希少だということです。
特に、長らく転職経験を良くない世相として扱い、中途採用でも前職と同じ職種しか採用してこなかった日本企業の環境では、とてつもなくハイブリッド人材が生まれにくい状態でした。
しかし現在、ノーコード・ローコードツールの台頭により、業務側の人間でもシステムを作れる環境が整いつつあります。
つまり、複雑な業務ロジックやセキュリティなどは依然として専門知識が必要ですが、業務主導でシステムを作る時代が到来してきているのです。

AI システム開発 / Python は不要

システム開発といっても分野が多岐にわたるので、ここでは AI を利用したシステム開発に絞った手段を書きたいと思います。
現在、ノーコード・ローコードツールが台頭していますが、さらに細かい条件を加えるなら、 従来通りプログラミング言語による開発も選択肢になります。

さて現在、AI 開発のどの募集要項を見ても「Python 経験者」となっているのが現状です。
しかし AI を利用した業務システム開発において実は Python は必須ではなく、むしろ避けた方が良いプログラミング言語になります。
AI の頭脳本体に相当する LLM 開発であれば Python スキルは必要になりますが、 実務で使う目的の AI システム開発の場合は LLM を呼び出す、つまり業務システムに LLM を呼び出す仕組みを「組み込む」 ことが AI システム開発の主眼となります。

企業システムは 10 年以上の運用を前提とします。
実務での AI システム開発で選ぶべきポイントは、言語とランタイムとフレームワークの組み合わせです。 最低限「LTS (長期サポート) が存在する」「バージョンアップが容易」「依存関係が安定している」といった観点に注目すべきです。
Python が企業システムに向かない理由は、Python ランタイムの CPython に LTS がなく後方互換性が弱いこと (=バージョンアップ困難)、 そして Python フレームワークの Django や FastAPI がその不安定なランタイムに強く依存していることにあります。
その観点から、C#(.NET + ASP.NET Core)、Java(JVM + Spring Boot)、TypeScript(Node.js LTS + NestJS などの安定フレームワーク)は、Python よりも企業システムに適した選択肢となります。
※依存関係:Python の AI プログラムは「numpy」「pandas」「torch」などに依存。どれか一つでも壊れると全て動かなくなる。

市場に既に販売されている SaaS / PaaS 製品

ノーコードツール一覧

ツール ベンダー 特徴
Power Automate(GUI 部分) Microsoft GUI で業務フロー自動化。標準コネクタで Microsoft 365 / Dynamics / SaaS と連携。AI Builder や Azure OpenAI コネクタで AI を組み込める。
Zapier Zapier Inc. Web サービス連携に特化。多数の SaaS 連携、Webhooks、OpenAI / ChatGPT 連携で AI ワークフロー構築が可能。
Google AppSheet Google Google Workspace / スプレッドシート起点の業務アプリに強い。Gemini によるアプリ生成支援あり。Salesforce / Office 365 などにも接続可能だが、複雑な企業統合は Power Platform / Salesforce に劣る。
Salesforce Flow(GUI 部分) Salesforce Salesforce CRM 内の業務プロセス自動化。レコード更新、承認、画面フローなどに強い。Einstein / Agentforce / Prompt Builder と組み合わせて AI を業務に組み込める。

ノーコード〜ローコード ツール一覧

ツール ベンダー 特徴
Copilot Studio Microsoft AI エージェント(Copilot)構築基盤。ナレッジ接続、生成回答、Power Automate 連携、外部 API 呼び出し、Microsoft 365 / Teams / Dynamics / Power Platform との統合に強い。社内問い合わせ対応や業務プロセス自動化の AI 化に最適。
Power Apps(Canvas) Microsoft GUI で業務アプリ作成。Power Fx 式、コネクタ、Power Automate 連携で AI API や社内システムと接続可能。ノーコードに近いが実質ローコード。
Make.com Make / Celonis Zapier より複雑な分岐・データ加工・シナリオ設計に向く。AI API 呼び出しや AI ワークフロー構築に対応。

ローコードツール一覧

ツール ベンダー 特徴
Power Apps(Model-driven) Microsoft Dataverse を前提にした業務アプリ開発。データモデル、フォーム、ビュー、業務プロセスを中心に構築できる。AI Builder、Copilot、Power Automate、Dataverse 連携により AI 組み込みがしやすい。
Power Automate(式・JSON・HTTP 部分) Microsoft GUI中心の自動化に加え、条件式、JSON 操作、HTTP、カスタムコネクタ、API 呼び出しを使うとローコード領域になる。AI Builder や Azure OpenAI 連携も可能。
Logic Apps(Azure) Microsoft Azure 上のエンタープライズ向けワークフロー基盤。標準/組み込みコネクタ、Azure OpenAI connector、Azure AI Search connector などを使って AI 処理を業務フローに組み込める。
OutSystems OutSystems 大企業向けのアプリ開発プラットフォーム。業務アプリ、モバイル/Web アプリ、レガシー刷新に強い。AI API 連携に加え、AI 支援開発やエージェント活用にも対応。
Mendix Siemens エンタープライズ向けローコード開発基盤。Siemens 系のため製造業・産業領域に強いが、製造業専用ではない。AI API 連携や AI 支援開発に対応。
ServiceNow(Now Platform) ServiceNow ITSM を中心に、ITOM、CSM、HR、セキュリティ、社内業務ワークフローを自動化する基盤。Now Assist により問い合わせ対応・チケット処理・業務プロセスに AI を組み込める。
Node-RED OpenJS Foundation(IBM 発祥) フロー型開発ツール。IoT、イベント処理、API 連携、MQTT、Webhook などに強い。AI 専用ではないが、OpenAI API や各種 AI API を組み込んだプロトタイプ/エッジ連携に使いやすい。




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